
四国八十八ヶ所を車ルートで巡る!日数と地図の選び方ガイド
しあわせのかたちへようこそ。運営者です。
親の死をきっかけに四国遍路の世界に足を踏み入れ、弘法大師空海の教えに触れるうちに、すっかりその奥深さに魅了されてしまいました。これからお遍路を始めようと考えているあなたも、きっと何かしらの思いを胸に秘めて、巡礼の準備を進めているのではないでしょうか。
歩き遍路はハードルが高いけれど、車なら回れるかもしれない。そう考える人はたくさんいます。ただ、知らない土地を長距離運転することへの不安や、具体的なルート選びで迷ってしまうことも多いはずです。私自身も最初は、本当に車で全部回れるのだろうかと地図を睨めっこした記憶があります。
ここでは、車でお遍路をする際に知っておきたいルートの組み方や日数の目安、そして安全に巡るためのポイントを私の経験も交えてお話しします。準備さえしっかり整えれば、車でのお遍路は心洗われる素晴らしい旅になるはずです。
- 車で四国八十八ヶ所を一周するために必要な日数の目安がわかる
- 初心者でも迷いにくいルート設定や地図の選び方がわかる
- 山道などの難所を安全に運転するための心構えと対策がわかる
- 車中泊と宿泊施設を組み合わせた無理のない計画の立て方がわかる
初心者が四国八十八ヶ所を車ルートで回るための基礎知識

四国遍路を車で回ることは、体力的な負担を減らしつつ、自分のペースで巡礼できる素晴らしい方法です。重い荷物を背負って歩き続ける自信がない人や、足腰に不安がある方でも、車を使えば88のお寺すべてを巡ることが可能です。まずは、計画を立てるうえで欠かせない日数やルートの基本について、少し詳しく整理してみましょう。
四国八十八ヶ所を車で回る日数の目安と計画

四国八十八ヶ所の総距離は、およそ1,400キロメートルと言われています。これは東京から鹿児島までの距離に匹敵する長さです。車で回る場合、一般的には10日から12日程度が通し打ち(一度で全て回ること)の目安とされています。
もちろん、これはあくまでスムーズに進んだ場合の計算です。お経を丁寧に上げたり、納経(御朱印)をいただいたりする時間を考えると、1日に回れるお寺は平均して7カ所から10カ所ほどになるでしょう。無理をして詰め込むよりも、予期せぬ渋滞や天候の変化に備えて、日程には少し余裕を持たせることをおすすめします。
具体的にお寺での所要時間をイメージしてみましょう。駐車場に車を停め、山門をくぐり、本堂と大師堂でお経を上げ、納経所で御朱印をいただく。これだけで、スムーズにいっても1ヶ所あたり30分から40分はかかります。駐車場から境内まで距離があるお寺や、階段が多いお寺では、さらに時間がプラスされます。車だからすぐ回れるだろうと甘く見ていると、意外と時間が足りなくなるのが現実です。
日数別の計画イメージ
日数がどれくらい取れるかによって、巡礼のスタイルは大きく変わります。以下に、一般的な目安をまとめてみました。ご自身の休暇日数と照らし合わせてみてください。
- 9日~10日:かなり駆け足のペース。朝の納経開始から夕方の終了までびっしり移動と参拝になります。観光の時間はほとんど取れません。食事もコンビニやおにぎりで済ませる覚悟が必要です。
- 11日~12日:標準的なペース。少し遠回りして美味しいうどんを食べたり、景色の良い場所で休憩したりする余裕が生まれます。トラブルがあっても吸収できる余白があるため、初心者にはこの日数がおすすめです。
- 14日以上:ゆったりペース。体力に自信がない方や、ご夫婦でのんびり回りたい方におすすめです。雨の日は早めに宿に入るなどの調整もしやすくなりますし、気に入った場所で連泊する楽しみ方もできます。
季節による活動時間の変化と1日の限界
計画を立てる際に盲点になりがちなのが、季節による日照時間の違いです。納経所の受付時間は、多くの札所で朝8時から夕方5時までと定められていますが(お寺によって異なる場合もあるため、事前に最新の情報を確認しましょう)、冬場は夕方5時になると真っ暗になります。知らない土地の、しかも街灯の少ない山道を日没後に運転して宿へ向かうのは、精神的にも非常に疲れますし、事故のリスクも高まります。
逆に夏場であれば、夕方5時を過ぎてもまだ明るいため、宿までの移動もスムーズですし、途中の景色を楽しむ余裕もあります。冬にお遍路を計画する場合は、移動時間を少し多めに見積もり、午後4時半ごろにはその日の行程を終えて宿に向かえるようなスケジュールを組むのが安全です。
もし10日以上の休みが取れない場合は、区切り打ちという方法もあります。徳島、高知、愛媛、香川と県ごとに分けて回るスタイルで、これなら週末や3連休を利用して少しずつ進めることができます。焦らず、自分のライフスタイルに合わせて計画を立てることが、長く続ける秘訣かもしれません。今回はここまでと区切りをつけることで、次回の楽しみが続くというメリットもあります。
最短で回る四国八十八ヶ所の車ルートと注意点
忙しい現代人にとって、できるだけ短期間で結願したいという気持ちはよくわかります。実際、慣れている人であれば9日程度で回ることも不可能ではありません。しかし、最短ルートを目指すあまり、心に余裕がなくなってしまっては本末転倒です。
最短を目指す場合、朝は納経開始に合わせてスタートし、夕方5時の終了ギリギリまで走り続けることになります。これだと、お寺の風情を味わう時間や、地元の人とのふれあいの機会がほとんどなくなってしまうかもしれません。また、疲労が蓄積しやすく、運転の集中力が低下するリスクも高まります。
それでも日数が限られている方のために、車での移動時間を短縮するための現実的なテクニックをいくつか紹介しましょう。
時間のロスを減らすための具体的な工夫
- お寺の駐車場情報を事前に調べる:駐車場から本堂までが遠いお寺(例:焼山寺、屋島寺など)を把握し、参拝にかかる時間を多めに見積もっておくことで、スケジュールの遅れを防げます。逆に、駐車場が境内のすぐ横にあるお寺では、サクサクとお参りできます。
- ロープウェイやケーブルカーを使う:21番太龍寺や66番雲辺寺、85番八栗寺などは、車で山頂まで行くよりもロープウェイなどを使った方が早く、安全な場合があります。特に太龍寺への車道は険しい林道なので、ロープウェイ利用が一般的です。
- 納経用品を準備しておく:納経所についてから小銭を探したり、納経帳を出したりしていると時間のロスになります。車を降りる前に、お賽銭、ロウソク、線香、納経帳をセットにして持てるように準備しておきましょう。
- 食事時間を短縮する:香川県ならセルフうどんを活用すれば、美味しくて早い昼食がとれます。また、朝食は宿ではなく、コンビニで買って移動中に済ませるという方法もあります。
高速道路と下道の賢い使い分け
時間を短縮する最大の武器は高速道路ですが、すべて高速を使えばいいというわけではありません。札所間の距離が短い徳島県の市街地や香川県の一部では、わざわざ高速に乗るよりも下道を走った方が早い場合もあります。
一方で、移動距離が非常に長い区間、例えば高知県の足摺岬から愛媛県の宇和島へ抜けるルートや、高知市から四万十市への移動などは、高速道路(無料区間を含む)を活用することで、下道のみよりも大きく時間を短縮できる場合があります。ナビの到着予想時間を見比べながら、臨機応変に使い分けるのが賢い方法です。ETCカードがあると割引や料金所通過がスムーズになり、より快適に移動できます。
より詳細な最短での回り方や準備については、お遍路の旅は何日かかる?日数を最短にするための巡り方と準備のコツの記事もご覧ください。
スケジュールの詰め込みすぎに注意
急ぐあまり事故を起こしてしまっては元も子もありません。特に初めてのお遍路では、移動時間にプラスして、休憩やトラブル対応の予備時間を必ず確保しておきましょう。1日1時間のバッファ(余裕)を持たせるのが、心の安定につながります。
お遍路の車モデルコースと地図を活用した計画づくり
車で回る場合の基本ルートは、1番札所の霊山寺(徳島県)から番号順に時計回りで進む順打ちが一般的です。このルートは案内標識も整備されており、道に迷いにくいというメリットがあります。
モデルコースを考える際は、宿泊地をどこにするかが鍵になります。お寺の近くに宿があるとは限らないため、夕方には徳島市や高知市、松山市といった都市部に戻るか、あるいは次の札所に近い温泉地へ移動するか、事前に決めておく必要があります。
私は地図を見ながら、この日はここまで進んで、夜は道後温泉でゆっくりしようなどと想像を膨らませる時間が大好きです。Googleマップなどで移動時間を調べつつ、自分だけの旅のしおりを作ってみてはいかがでしょうか。Excelなどの表計算ソフトを使って、お寺の名前、移動距離、予想滞在時間を一覧にしておくと、当日とても役立ちます。
宿泊地選びのヒントとエリア別拠点
車遍路の場合、必ずしも札所の目の前に泊まる必要はありません。少し離れていても、快適なビジネスホテルや、食事の美味しい旅館を選ぶことができます。運転の疲れを取るためにも、お風呂が充実している宿や、ベッドで寝られるホテルを選ぶのも良い選択です。例えば以下のような拠点が便利です。
| エリア | 主な宿泊拠点 | 特徴とメリット |
|---|---|---|
| 徳島(発心の道場) | 徳島市内、鳴門市 | 札所が密集しており、市内からのアクセスが良い。夜遅くまで開いている飲食店も多い。 |
| 高知(修行の道場) | 高知市内、室戸岬周辺、足摺岬周辺 | 移動距離が長いため、岬周辺での宿泊が効率的。朝日や夕日を楽しめるのも魅力。 |
| 愛媛(菩提の道場) | 松山市内(道後温泉)、今治市 | 道後温泉で疲れを癒やすのがお遍路の定番。観光気分も味わえる。 |
| 香川(涅槃の道場) | 高松市内、琴平温泉 | 結願に向けてラストスパート。うどん巡りも楽しめる。高松市内はホテルも豊富。 |
エリアごとの道路事情を知っておく
計画を立てる際、エリアごとの道路の特徴を知っておくと心の準備ができます。
- 徳島県:最初のお寺が多く、平地は走りやすいですが、12番焼山寺や20番鶴林寺など、いきなり難所の山道が現れます。ここでお遍路の厳しさを最初に味わうことになります。
- 高知県:海沿いの国道をひたすら走るロングドライブが中心。道は広いですが単調になりがちなので、居眠り運転に注意が必要です。ガソリンスタンドが少ない区間もあるので早めの給油を。
- 愛媛県:松山市内は交通量が多く、朝夕は渋滞しやすいです。また、久万高原などの山間部は冬場の凍結に注意が必要です。
- 香川県:お寺とお寺の間隔が狭く、市街地を走ることが多いです。細い生活道路を通ることもあるので、歩行者や自転車、飛び出しに気を配りましょう。
逆打ちは難しい?お遍路の車モデルコースの選び方
88番札所から1番札所に向かって反時計回りに進むことを逆打ちと呼びます。うるう年に逆打ちをするとご利益が3倍になるという古くからの言い伝えもあり、特にうるう年には注目される巡り方です。もちろん、これは信仰上の伝承ですが、多くの人が特別な思いを持って挑むスタイルでもあります。
ただ、車遍路の初心者にとって、逆打ちは少しハードルが高いかもしれません。というのも、遍路道の案内板や看板の多くは順打ち用に設置されているため、逆方向からだと見落としやすくなるからです。看板の裏側しか見えずに通り過ぎてしまい、道を間違えるということが起こりやすくなります。
また、山道でのカーブや合流地点への進入角度が順打ちとは異なり、運転しにくい場所もあります。特に山間部の細い道では、順打ちの車とすれ違う回数が増えるため、離合(すれ違い)のスキルが求められます。バックして道を譲るのが苦手という方は、やはり順打ちの方が精神的に楽でしょう。
もちろん、逆打ちには順打ちのお遍路さんとすれ違う際、挨拶を交わしやすいという独自の魅力もあります。しかし、初めての場合は素直に順打ちを選び、道の様子やお寺の雰囲気に慣れることを優先するのが無難です。逆打ちは、2回目以降の楽しみとして取っておくのも一つの考え方だと思います。逆打ちに関する詳しい事情や噂については、お遍路の逆打ちに呪いはない!噂の真相と安全な巡礼方法の記事でも詳しく解説しています。
四国88ヶ所の車遍路に役立つ詳細地図と選び方

最近はスマホのナビだけで移動する人も増えましたが、お遍路に関しては紙の地図を持っておくことを強くおすすめします。山間部では電波が入りにくい場所もありますし、全体の位置関係を把握するにはやはり紙の地図が便利です。
特におすすめなのが、へんろみち保存協力会が発行している『四国遍路ひとり歩き同行二人』の地図編です。名前に歩きとありますが、お寺の詳細な位置や標高、トイレの場所などが網羅されており、車遍路の人にとってもバイブル的な存在になっています。道のアップダウンが一目でわかるので、ここは急な坂道だなと心の準備ができるのも大きなメリットです。
また、書店で手に入るガイドブック、『るるぶ』や『まっぷる』などの四国八十八ヶ所版も、駐車場情報や周辺のグルメ情報が充実しており、ドライブ旅行の感覚で楽しみたい人には役立つでしょう。お寺の由来や見どころも写真付きで紹介されているので、予習にもぴったりです。特に、見開きでルート全体を俯瞰できるページは、その日の行程を考えるのに非常に役立ちます。
紙の地図に情報を書き込むメリット
紙の地図の良いところは、自分だけの情報を書き込めることです。例えば、ここの道は狭くて怖かった、この近くの道の駅はトイレがきれいだったといったメモを残しておくと、後で見返した時に良い思い出になりますし、もし2周目に行く時にも役立ちます。
私は、事前にネットで調べた美味しいランチのお店や日帰り温泉の場所を地図に赤ペンで印をつけておきます。こうすることで、運転中にスマホを操作することなく、スムーズに立ち寄りスポットへ向かうことができます。同乗者がいる場合は、助手席の人にナビ係をお願いして、地図を見ながら指示を出してもらうと、ドライブがより楽しくなります。
地図選びのポイント
車遍路専用の地図も販売されています。駐車場の有無や料金、大型車が入れるかどうかなどの情報が載っているものを選ぶと、現地でのトラブルを減らせます。また、駐車場代用の小銭を用意する際にも役立ちます。
カーナビと併用したいお遍路の車用スマホ地図アプリ
カーナビは頼りになりますが、お遍路では時としてあだになることがあります。古いデータだとお寺の裏側の細い農道を案内されたり、通れもしない山道を指示されたりすることがあるからです。特に山奥のお寺では、ナビ通りに進んだら軽トラしか通れない道だった、なんて話もよく聞きます。
そこで活用したいのが、スマホの地図アプリです。Googleマップは常に最新の情報に近いですが、それでも過信は禁物です。私はいつも、カーナビで目的地をセットしつつ、スマホで航空写真を見て本当にこの道で大丈夫か?と確認するようにしています。
ナビ設定のコツとトラブル回避
目的地を設定する際、単にお寺の名前を入力するだけでは不十分なことがあります。以下のポイントを意識して入力してみてください。
- 電話番号検索は慎重に:お寺の電話番号で検索すると、寺務所や住職の自宅に案内されることがあります。駐車場とは離れている場合もあるので注意が必要です。到着したらお墓の裏側だった、ということもあります。
- 住所やマップコードを使う:ガイドブックに載っている駐車場の住所や、マップコードを入力するのが確実です。多くのガイドブックには、駐車場専用のマップコードが記載されています。
- 経由地を設定する:目的地までのルートが一意に決まらない場合、通りたい主要道路を経由地に設定することで、意図しない細い道を避けることができます。最短距離よりも推奨ルートや幹線道路優先を選ぶのが無難です。
電波の届かない山間部での対策
四国の山間部、特に12番焼山寺への道中や、高知県から愛媛県へ抜ける峠道などでは、携帯電話の電波が圏外になることがあります。こうなると、オンラインの地図アプリは使い物になりません。
事前にGoogleマップのオフラインマップ機能を使って、四国全土の地図データをダウンロードしておくことを強くおすすめします。これなら電波がない場所でも地図を表示し、ナビ機能を使うことができます。もちろん、ここでも紙の地図が最強のバックアップになることは言うまでもありません。紙地図ならバッテリー切れの心配もありません。
Googleマップの「保存」機能を活用
行く予定のお寺や宿、立ち寄りスポットを事前にGoogleマップで保存(スター付き)しておくと、地図上で位置関係が一目でわかり、ルート検討が非常にスムーズになります。
四国八十八ヶ所の車ルートを安全・快適に巡るポイント

ここからは、実際に車で四国を走る際に気をつけたいポイントについてお話しします。四国の道は美しいですが、同時に厳しさも持ち合わせています。特に普段、都会の整備された道路しか走っていない人にとっては、驚くような道に遭遇することもあるでしょう。安全第一で、心穏やかに巡礼を続けるためのヒントにしてください。
お遍路の車移動で気をつけたい危険な道と心構え
四国には車遍路の難所と呼ばれる場所がいくつかあります。これは本来、歩き遍路にとっての急勾配や険しい山道を指す言葉ですが、車遍路にとっても他人事ではありません。
特に徳島県の焼山寺(12番)や、愛媛県の岩屋寺(45番)周辺などは、道幅が狭く、対向車とのすれ違いに神経を使う区間があります。ガードレールがない崖沿いの道を通ることもあり、高所恐怖症でなくても足がすくむような感覚に襲われるかもしれません。また、60番横峰寺への林道も急勾配と急カーブの連続で、エンジンのパワーとブレーキ性能が試されます。
怖いなと感じたら、無理に進まず安全な場所に車を停めて深呼吸しましょう。焦りは事故の元です。どうしても運転に自信がない場合は、最寄りの駅からタクシーを利用したり、ロープウェイやケーブルカーがあるお寺(21番太龍寺や85番八栗寺など)では積極的にそれらを利用したりするのも賢い選択です。タクシー運転手さんは道のプロですので、観光案内を聞きながらリラックスしてお寺に向かうのも良い思い出になります。
特に注意が必要な車遍路の難所
具体的に、どのあたりが厳しい道なのかを知っておくだけでも違います。代表的な難所を挙げておきます。
- 11番藤井寺から12番焼山寺へ:代表的な車道ルートでは約35kmあり、そのうち後半は道幅が狭くカーブが多い難所です。対向車とのすれ違いポイントを見極める必要があります。マイクロバスも通るため、カーブミラーの確認は必須です。
- 20番鶴林寺・21番太龍寺周辺:急な坂道とカーブが続きます。太龍寺はロープウェイを使うのが一般的ですが、車で行こうとするとかなりの悪路を覚悟しなければなりません。
- 27番神峯寺:通称真っ縦(まったて)と呼ばれる急坂があります。アクセルをしっかり踏まないと登らないほどの勾配です。
- 60番横峰寺:専用の有料林道を通りますが、ここもかなりの難所。冬場は通行止めになることもあります。林道バスを利用するという選択肢もあります。
車での難所や危険なルートについては、お遍路で車は危険?難所のルートと安全対策を徹底解説の記事で、具体的な場所と回避策を詳しく紹介しています。
狭い山道などお遍路の車ルートでの運転注意点

四国の山道、いわゆる酷道(こくどう)では、対向車とすれ違えないほど狭い箇所が頻繁に現れます。こうした場所では、カーブミラーをよく確認し、対向車が来たら早めに待避所へ寄せる譲り合いの精神が不可欠です。
地元の方は慣れているためスピードを出していることがありますが、つられてスピードを上げる必要はありません。後続車が溜まってしまったら、広い場所で道を譲り、自分のペースを守って走りましょう。お先にどうぞと手を挙げる余裕が、安全運転につながります。煽られていると感じたら、すぐに左に寄せて先に行かせてしまいましょう。
安全運転のための3つのポイント
- キープレフトを徹底する:見通しの悪いカーブでは、対向車がセンターラインを割ってくることもあります。できるだけ左側に寄って走行しましょう。特にカーブではアウト・イン・アウトではなく、常にアウト・アウトまたはイン・インで左側をキープする意識が大切です。
- ライトを早めに点灯する:山の中は昼間でも薄暗い場所があります。早めにヘッドライトを点灯し、自分の存在をアピールしましょう。対向車への合図にもなります。
- クラクションを活用する:極端に狭いカーブや見通しの悪い場所では、軽くクラクションを鳴らして対向車に注意を促すのも有効です。ここに車がいますよと知らせるためのものです。
離合(すれ違い)が苦手な人のための対処法
狭い道でのすれ違い、いわゆる離合が苦手で、バックするのが怖いという方もいるでしょう。そんな時のコツは、無理に入っていかないことです。
カーブの手前や見通しの良い場所で、対向車が来ていないかしっかり確認します。もし来ていたら、広い場所で待機してやり過ごしましょう。行けるかもしれないという希望的観測で狭い区間に突っ込むと、進むも戻るもできなくなり、パニックになってしまいます。常にもし対向車が来たらどこで避けるかを考えながら運転するのがポイントです。
また、レンタカーを利用する場合は、運転しやすいコンパクトカーや軽自動車を選ぶことを強くおすすめします。小回りが利く車だと、精神的な負担が随分と軽くなります。特に軽自動車は、狭い道でのすれ違いにおいて圧倒的に有利です。
また、遍路道は歩き遍路の方々も歩いています。特にトンネル内や見通しの悪いカーブでは、歩行者がいることを常に想定し、十分な距離を取って追い越すように心がけてください。お互いに気持ちよく道を共有することが、功徳にもつながるような気がします。
お遍路中の車中泊に関するマナーと宿泊のバランス
費用を抑えるために車中泊を考えている方もいるでしょう。最近は道の駅も整備され、快適に過ごせる場所が増えてきました。しかし、どこでも寝ていいわけではありません。
お寺の駐車場での車中泊は、基本的にマナー違反とされています。夜間の防犯上の理由や、早朝の参拝準備の妨げになる可能性があるからです。お寺はあくまで信仰の場であることを忘れてはいけません。必ず許可された場所、例えばRVパークや車中泊可能なオートキャンプ場などを利用しましょう。
個人的には、全日程を車中泊にするのはおすすめしません。狭い車内ではどうしても疲れが取れにくく、エコノミークラス症候群のリスクも気になります。3日に1回は布団で寝るなど、体調管理を優先した計画を立てることが大切です。ちゃんとした宿で食事を取り、お風呂に入ってリラックスすることで、翌日の運転への集中力も回復します。
入浴と洗濯のタイミングを確保する
車中泊を中心にする場合、お風呂と洗濯をどうするかが課題になります。四国には遍路温泉や○○温泉といった日帰り入浴施設がたくさんあります。お寺の近くにあることも多いので、参拝の後にひとっ風呂浴びてから寝床へ移動するのがスムーズです。温泉で地元の方と言葉を交わすのも、旅の醍醐味の一つです。
洗濯については、コインランドリーを活用しましょう。最近のコインランドリーは清潔で、洗剤自動投入、乾燥まで一気に終わらせてくれる機械も多いです。待ち時間の間に食事を済ませたり、翌日のルートを確認したりすれば、時間を有効に使えます。お遍路用の白衣も、乾燥機にかければシワになりにくいので便利です。洗濯ネットを持参するのもおすすめです。
車中泊に必要な装備と防犯対策
車中泊を快適かつ安全に行うためには、最低限の装備が必要です。
- 目隠し(シェード・カーテン):外からの視線を遮断し、プライバシーを守るために必須です。街灯の眩しさも防げます。
- マットと寝袋:座席を倒しただけでは凹凸があり、熟睡できません。段差を埋めるマットがあると劇的に寝心地が変わります。
- ランタン:車内のルームランプを使い続けるとバッテリー上がりの原因になります。電池式や充電式のLEDランタンを用意しましょう。
- 防犯対策:必ずドアロックをかけ、貴重品は身につけて寝るか、見えにくい場所に保管しましょう。人の気配がなさすぎる場所よりも、ある程度他の利用者もいる道の駅やPAの方が安心感があります。
季節ごとの対策も忘れずに
夏は夜でも蒸し暑く、冬は山間部で氷点下になることもあります。エンジンのつけっぱなしは騒音トラブルになるため、寝具や防寒・暑さ対策グッズをしっかりと準備しておきましょう。特に冬場は底冷えするので、断熱マットが重要です。
宿泊施設を予約して安心のお遍路行程を作るコツ

安心してお遍路を続けるためには、やはり宿泊施設の確保が重要です。お遍路さん向けの宿坊があるお寺に泊まれば、朝のお勤めに参加できたり、精進料理をいただけたりと、貴重な体験ができます。宿坊は単なる宿泊施設ではなく、お寺の一部であることを意識して利用しましょう。朝、静寂の中でお経を聞く体験は、何物にも代えがたい心の洗濯になります。
宿坊以外にも、ビジネスホテルや民宿、温泉旅館など選択肢は豊富です。車遍路の利点は、お寺から少し離れた場所でも宿を探せることです。例えば、松山市内や高知市内などの都市部を拠点にして、そこから周辺のお寺を数日かけて回る拠点滞在型のスタイルなら、毎日の荷造りも不要で楽ちんです。連泊なら、大きな荷物は部屋に置いておけるので、身軽に参拝できます。
ただし、春や秋のお遍路シーズン、ゴールデンウィークなどは宿が混み合います。特に人気の宿坊や、アクセスの良いビジネスホテルはすぐに埋まってしまうこともあります。行程が決まったら、早めに予約を入れておくことをおすすめします。
宿坊予約の作法とタイミング
宿坊に泊まりたい場合、予約は電話でするのが基本です。ネット予約に対応している宿坊はまだ少数派です。「お遍路で回っている〇〇と申します。〇月〇日に一人で泊まりたいのですが」と伝えれば、親切に対応してくれます。
夕食の準備があるため、到着時刻には敏感になりましょう。通常、宿坊の夕食は午後6時頃からです。もし予定より遅れそうな場合は、必ず早めに電話を入れるのがマナーです。また、宿坊によっては相部屋になることもあります。気になる方は予約時に個室が可能か確認しておくと良いでしょう。アメニティ(タオルや歯ブラシ)がない場合もあるので、持参するのが無難です。
宿選びで失敗したくない方は、四国遍路で泊まってはいけない宿の真実と安全な宿選び完全ガイドの記事も参考になるかもしれません。
季節や天候がお遍路の車移動に与える影響
四国の自然は豊かですが、天候には注意が必要です。特に夏から秋にかけての台風シーズンは、豪雨による土砂崩れや通行止めが発生しやすく、計画の変更を余儀なくされることがあります。四国の山道は雨に弱く、少しの雨量でも通行止めになる区間があるため、道路情報はこまめにチェックしましょう。これくらいの雨なら大丈夫だろうという判断が命取りになることもあります。
また、南国というイメージがある四国ですが、冬場の山間部(特に久万高原周辺や雲辺寺など)では積雪や路面凍結が起こります。標高が高いお寺へ向かう道は、平地とは別世界です。冬にお遍路をする場合は、スタッドレスタイヤやチェーンの携行が必須です。ノーマルタイヤで来てしまって立ち往生というのは、周囲に多大な迷惑をかけることになります。
天候が悪い日は、無理にお寺へ向かわず、今日は温泉でゆっくり休む日と割り切る心の余裕も大切です。お大師様は逃げませんから、安全な時にまたお参りすれば良いのです。道路交通情報は、国土交通省のサイトなどで確認できます。
車遍路ならではの持ち物と服装
最後に、車遍路ならではの準備について触れておきます。車だから何でも積めると思いがちですが、整理整頓されていないと探し物で時間をロスします。トランクや後部座席に参拝セット、着替え、雨具などを分けて収納しておくと便利です。
- 靴:運転しやすいスニーカーと、雨の日用の防水シューズを積んでおくと便利です。お寺のトイレなどで履き替えるサンダル(クロックスなど)もあると楽です。
- 服装:車から降りてすぐお参りできる動きやすい服装がベストです。白衣(びゃくえ)を着る場合、運転中はシワにならないように脱いでハンガーにかけておき、駐車場に着いてから羽織るという人も多いです。
- 雨具:傘だけでなく、カッパ(レインコート)もあると便利です。駐車場から境内まで距離がある場合、風が強いと傘が役に立たないことがあります。
- カーチャージャー:スマホの充電切れは死活問題です。シガーソケットから充電できるアダプターは必須です。
持ち物については、お遍路の必需品リスト!初心者が揃えるべき持ち物と便利グッズの記事でさらに詳しく紹介しています。
参考:国土交通省 道路交通情報
まとめ:四国八十八ヶ所の車ルートで心に残る巡礼を
車で巡る四国八十八ヶ所の旅について、ルート選びや注意点をお話ししてきました。車なら、体力に自信がなくても、時間の制約があっても、お遍路という素晴らしい文化に触れることができます。
大切なのは、スタンプラリーのようにただ回ることではなく、一つひとつのお寺で手を合わせ、自分自身と向き合う時間を持つことだと思います。道に迷ったり、狭い道で冷や汗をかいたりすることも含めて、きっとすべてが忘れられない思い出になるはずです。
どうか安全運転で、あなたらしい「しあわせのかたち」を見つける旅になりますように。道中、もし不安や体調不良を感じた場合は、無理をせず医師や専門家に相談してくださいね。良いお参りを。












