
お遍路の納め札の書き方は?願意の例やマナーを優しく解説
大切な人を送ったあと、ふと立ち止まって自分の足元を見つめ直したくなる瞬間がありますよね。私もそんな心の揺らぎの中で、弘法大師空海ゆかりの四国霊場に興味を持ち、一つひとつの作法を学び始めました。
お遍路の準備を進める中で、多くの人が最初にぶつかる疑問が納め札の書き方です。住所はどこまで書くのか、日付の正しい形式はあるのか、そして裏面に記す願い事はどう表現すれば失礼にならないのか、悩みは尽きません。
結論からお伝えすると、お遍路の納め札は、基本の書き方を押さえておくと安心です。一般的には、巡拝年月日、住所、氏名、年齢の4項目を表面に、願い事を裏面に記入すると案内されています。こうした基本を知ることで、不安が自信に変わり、より深くお参りに集中できるようになります。
この記事では、初心者の方が現地で戸惑わないよう、納め札の具体的な記入例から、供養や諸願成就などの願意のバリエーション、さらには西国三十三所との違いまでを網羅して解説します。さらに、にじみにくいボールペン選びや購入場所、書き損じの扱いなど、実務的なポイントもすべてまとめました。この記事を読み終える頃には、あなたの想いを乗せた納め札を迷いなく用意できているはずです。
- 納め札の表面に記すべき基本4項目と具体的な記入ルールがわかります
- 自分の想いや大切な人への供養を伝える適切な願意の表現がわかります
- 巡拝の回数で変わる札の色や、必要な枚数の目安などの実務がわかります
- 他人の札への配慮や書き損じの処分方法など参拝時のマナーがわかります
お遍路の納め札の書き方の基本と知っておきたい作法
お遍路の納め札は、自分の参拝を仏様に報告する大切な名刺のような存在です。まずは、お遍路の納め札の書き方の第一歩として、表面に記入すべき内容や、四国遍路ならではの色のルールについて詳しく見ていきましょう。

そもそも納め札とは?巡拝回数で変わる色の意味
納め札は、札所を参拝した証として、本堂や大師堂に備え付けられた納札箱へと奉納する紙の札です。四国霊場には、巡拝を重ねた回数によって札の色を変えていくという習慣があります。
一般社団法人 四国八十八ヶ所霊場会の案内によると、色の区切りは以下のように紹介されています。
| 巡拝回数 | 納め札の色 |
|---|---|
| 1回から4回 | 白(しろ) |
| 5回から6回 | 緑(みどり) |
| 7回から24回 | 赤(あか) |
| 25回から49回 | 銀(ぎん) |
| 50回から99回 | 金(きん) |
| 100回以上 | 錦(にしき) |
このように、四国霊場を何周したかによって納める札の色が異なります。こうした色の変化を、自身の歩みを振り返る一つの目安として捉える方もいらっしゃいます。また、道中でお遍路さんがお接待を受けた際に、御礼として手渡す古来よりの風習もあります。 (参照:一般社団法人 四国八十八ヶ所霊場会「遍路用品 – 納札」)

表面に記入する日付や住所などの基本4項目
納め札の表面には、主に4つの基本項目を記入します。現地ではお経を唱える時間も大切にしたいので、あらかじめ自宅などで丁寧に記入しておくのがおすすめです。
巡拝年月日(日付)
参拝する当日の日付を記すのが一般的ですが、数日分をまとめて用意する場合は令和〇年〇月吉日といった書き方でも問題ありません。お遍路の旅は予定が変わることも多いため、無理に特定の日付にこだわらず、ゆとりを持たせた表現を選ぶ方が多いです。
住所・氏名・年齢
住所は、都道府県と市区町村名までを記入するのが標準的です。現代では個人情報保護の観点から、番地まで詳細に書く必要はないと、大手旅行会社の案内でも紹介されています。氏名は中央に大きく、年齢は端に添えるように書くとバランスが良くなります。
年齢は数え年でも満年齢でも問題ありません
年齢を記入する際、数え年にすべきか満年齢(現在の年齢)にすべきか迷う方もいらっしゃいます。伝統的な宗教行事では数え年が使われることも多いですが、お遍路の納め札に関しては、どちらで書いても失礼にはあたりません。
阪急交通社の案内でも、どちらでも結構ですとされており、迷う場合は普段使い慣れている満年齢で書くのが最も安心です。もし数え年で書きたい場合は、その年の年数 − 生まれ年 + 1という計算式で求めるのが一般的です。大切なのは形式よりも、今の自分をありのままに提示する誠実な心構えといえるでしょう。 (参照:阪急交通社「参拝の基礎知識」)
納札に使う筆記具はボールペンでも大丈夫?
納札を記入する道具に、厳格な決まりはありません。かつては小筆と墨を持ち歩くのが正装とされていましたが、筆記具に制限はないため、にじみにくく読みやすいものを選ぶと安心です。特に屋外の納札箱は湿気を含むことがあるため、水に強い油性インクのペンや速乾性のサインペンを用意しておくと、文字が消えてしまう心配も少なくなります。
ただし、お遍路という非日常の体験を大切にするならば、筆ペンを使ってみるのも素敵です。筆先から伝わる独特の感触によって、自然と文字を丁寧に綴る意識が生まれやすい、と感じる方もいます。雨などの天候を考慮し、水に強いインクのペンを用意しておくと安心ですね。
どこで買える?お遍路の納め札の主な購入場所
納め札は、出発前に巡拝用品専門店やインターネットで購入して準備しておくと安心です。現地でも入手できる場合がありますが、遍路用品はすべての霊場に必ず置いてあるわけではないため、旅の序盤で早めに確保しておくのが賢明です。
大手旅行会社の案内でも、専門店での購入やツアー当日の案内が紹介されています。最初の札所を訪れる際に、納経所や寺務所で在庫を確認してみるのも一つの方法ですが、品切れや取り扱いがない可能性も考慮し、あらかじめ1冊(通常100枚綴りなど)を手元に用意しておくのがスムーズな巡礼のコツといえるでしょう。 (参照:一般社団法人 四国八十八ヶ所霊場会「よくあるご質問」)
本堂と大師堂にそれぞれ1枚ずつ納めるのが基本
参拝の際は、1つの札所につき2枚の納め札を使用するのが基本です。内訳は、ご本尊を祀る本堂に1枚、そしてお遍路の祖である弘法大師を祀る大師堂に1枚です。八十八ヶ所のみを巡るなら、最低でも176枚が目安となります。
案内によっては番外札所を含めて約180枚とされることもあるため、書き損じや予備、あるいはお接待へのお礼として手渡すことを考えて、200枚程度(2冊分)を用意しておくと余裕を持って旅を続けられます。前日の夜などに、翌日訪れる予定の枚数分を束ねておくと、現地での参拝がとてもスムーズになりますよ。
四国遍路の納め札の書き方で迷いやすい願意や供養の例
表面の記入が済んだら、次は裏面にあなたの想いを込める番です。四国遍路の納め札の書き方において、願意(願い事)は仏様へのメッセージとなります。具体的な表現のバリエーションや、大切な人への祈りを込める際のヒントを見ていきましょう。

願い事は裏面に!具体的な願意の書き方と注意点
納め札の裏面は、主に願い事を記すためのスペースとして使われます。記入欄が印刷されている納め札をお使いの場合は、その欄の指示に従って書くのが最も迷わない方法です。白紙の裏面を使う場合は、縦書きで丁寧に記しましょう。
注意したいのは、あまりに多くの願いを一度に詰め込まないことです。今の自分にとって最も切実な想いを一言で表すことで、気持ちの整理につながると感じる方もいます。丁寧に想いを込める時間は、心の中に穏やかさをもたらしてくれる貴重なひとときとなるでしょう。
四字熟語でまとめる諸願成就や心願成就の活用
願い事を具体的にどう表現すればいいか迷ったときは、古くから親しまれている四字熟語の願意を借りてみましょう。短い言葉の中に、深い祈りが込められています。願い事が複数ある場合は、納札の裏面に「諸願成就」や「心願成就」と記す方法が案内されています。
- 家内安全:家族が健康で、平穏な日々を過ごせるように
- 身体健全:自分自身の体が健やかで、丈夫であるように
- 諸願成就:いろいろな願い事が、良い形で叶いますように
- 心願成就:心に深く期している目標や願いが達成されますように
これらの中から、その日の自分の心境に最も近いものを選んでみてください。一つの型を知っておくだけで、お札を書く手が止まることはなくなります。 (参照:クラブツーリズム「四国八十八ヶ所めぐりなどの参拝方法や納札の記入方法」)
亡くなった方の供養を目的とする場合の記入例
大切な家族や先祖を想い、その供養のために歩むお遍路さんも少なくありません。供養のために納める札には、為〇〇〇〇供養といった形式で記入するのが一般的です。
〇〇の部分には故人の戒名(法名)を入れますが、もしわからなければ為〇〇家先祖代々供養や、生前の名前を用いて為〇〇(名前)供養と記しても、その祈りは尊いものとして受け止められます。お札に故人の名を刻むたびに、大切な人との繋がりを再確認できる、温かな時間となるかもしれません。
書き損じた納め札は無理に使い続けず新しく用意する
納め札を書いていて、ついうっかり書き間違えてしまうこともありますよね。そんな時は、修正ペンなどで直して使い続けるよりも、新しい札に書き直すことをおすすめします。仏様に納めるものですから、清々しい状態で差し上げたいものです。
書き損じた納札は無理に使わず書き直し、処分に迷う場合は住所などの個人情報が含まれていることもあるため、家庭のシュレッダーにかけるか、寺社のお焚き上げを利用する方法もあります。受付の可否は各寺社で異なりますが、第83番札所の一宮寺のように、古いお守りやお札の受付を案内している寺院もあります。 (参照:一宮寺「お焚き上げ」)
納札箱を覗かないなど参拝時に意識したいマナー
札所には、多くの参拝者が納めたお札が詰まった納札箱が置かれています。ここで最も意識したいのが、他人の納め札を不用意に手に取ったり、箱の中をじろじろと覗き込んだりしないというマナーです。
納め札には住所や氏名、そして切実な願いが記されています。それらは仏様と参拝者との大切な約束の証であり、プライバシーそのものです。他人の願意を盗み見るような行為は控え、自分の札を静かに納めたら、敬意を払って立ち去るのが本当の作法です。また、箱の中にある金札や錦札を勝手に持ち帰ることも、慎むべき行為とされています。
西国三十三所の納め札の書き方と四国との違い
四国遍路だけでなく、西国三十三所の巡礼でも納め札を使用することがあります。基本項目を記入するスタイルは似ていますが、霊場によって納め札の仕様や運用が異なる場合があります。
西国三十三所では、各札所で専用の納札が用意されていることも多く、四国遍路の札をそのまま使うことが適さないケースも考えられます。トラブルを避けるためにも、現地の案内表示や寺務所の案内に従い、必要ならその札所で確認すると安心です。それぞれの霊場の伝統を尊重し、その場にふさわしい形でお参りを進めましょう。
まとめ:お遍路の納め札の書き方をマスターして参拝へ
お遍路の納め札の書き方は、一見すると難しそうに思えますが、基本は住所・氏名・日付・年齢を表面に、願い事を裏面に記すというシンプルなものです。この小さな紙の一片に、今のあなたの想いや、大切な人への祈りを託してみてください。
筆記具はにじみにくいものを選び、巡拝回数に合わせた色のお札を丁寧に仕上げていく。その準備そのものが、あなたの心を静め、仏様と向き合うための素晴らしい序章になります。八十八ヶ所の長い道のりを、弘法大師空海とともに歩む同行二人の精神で、どうぞ大切に歩んでください。
もし、身体や心の健康に不安があり、供養や参拝を通じて心の整理をしたいと考えている方は、お参りと並行して、医師やカウンセラーなどの専門家に相談することも大切になさってください。この記事が、あなたの第一歩をそっと後押しするものになれば幸いです。
四国の風に吹かれながら、納め札を箱に入れる瞬間の清々しさを、ぜひあなた自身で体験してきてください。あなたの巡礼の道が、素晴らしい気づきに満ちたものになるよう心から応援しています。どうぞ、お気をつけて行ってらっしゃいませ。













